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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

山の日イベント パノラマトレッキング(前編)

山の日イベント パノラマトレッキング(前編)

2025年12月23日
富士五湖 半田尚人
こんにちは!富士五湖管理官事務所の半田です。
12月に入り、富士北麓もめっきり冷え込むようになりました。車のフロントガラスが凍結し、ベランダに吊るした干し柿も美味しさをぎゅっと閉じ込めて食べ頃になって来ました。空気は冷たいですが、澄んでいてくっきりと富士山の雄姿を眺めることができます。
 
さて、来年2月に富士箱根伊豆国立公園が指定90周年を迎えますが、その名を冠した山の日イベントを11月末に実施しました。ん? 11月末に「山の日」イベント??? 「山の日」は8月10日ですが、この時季は富士山の業務があるため、富士五湖事務所では開山期を外して実施しています。そして、今年は晩秋の低山ハイクを楽しんで頂きたく、ホールアース自然学校のネイチャーガイドの協力を得てパノラマ・トレッキングを企画しました。

今回は、精進湖他手合浜(たてごうはま)を出発して、パノラマ台から本栖湖の中ノ倉峠までの楽しい稜線歩きの旅を写真と共に2回に渡って振返りたいと思います。

出発の朝 河口湖の紅葉

当日の朝、時間があったので、河口湖を訪れ、秋の紅葉を見て回りました。
産屋ヶ崎の紅葉
紅葉と富士(11月23日 朝 河口湖産屋ヶ崎にて)
河口湖の産屋ヶ崎は「富士山がある風景 100選」にも選ばれていて、運が良いと湖面に富士山がきれいに映る「逆さ富士(別名: 鏡富士)」が見れるスポットとして国内外の旅行者に人気の場所です。この日も多くの人たちがこだわりの写真を熱心に撮っていました。

精進湖 他手合浜より出発!

精進湖の他手合浜に集合。山梨県・静岡県を中心に8組12人の参加者が集いました。ここで軽く自己紹介をしてから出発なのですが、嬉しいニュースがありました。先日、イオンモール甲府昭和にてアクティブレンジャー写真展を行いましたが、その時に会場でこのイベントのことを知り応募してくださったご夫婦の方もいらっしゃったのです。ありがたい限りです。
他手合浜の駐車場を出発
子抱富士について解説
ここで精進湖からの富士山の眺めの特徴、「子抱富士」について紹介。説明してくれるのは、ホールアース自然学校のネイチャーガイド、ガッツこと夫津木さんです。富士山には山頂火口を中心に北西から南東にかけて70以上の側火山が連なっていますが、大室山もその一つ。ここ精進湖から眺めると、まるで母なる富士山が大室山を抱っこしているかのよう。富士山の優しい表情が見られる風景です。
(精進湖 他手合浜からの富士山も「富士山がある風景 100選」にも選ばれています)

落ち葉を踏んで行く山は

さぁ、精進パノラマ台の登山口からトレッキングを始めましょう!枝には紅葉もまだ残り、足元の落ち葉を踏みしめながら歩くのは癒やされますね。自然と参加者同士、和気あいあいと会話を楽しみながら登って行きます。
和気あいあいと楽しく登って行く

森のエビフライを探そう!

途中、富士山と青木ヶ原樹海がよく見えるところで休憩。ここでガッツさんが富士山と青木ヶ原樹海の成り立ちについて解説。ハワイの溶岩の話などを織り交ぜながら分かりやすく話してくれました。
富士山と青木ヶ原樹海の成り立ちを学ぶ
さて、皆さんは「森のエビフライ」って知っていますか?松ぼっくり(球果)にはカサの部分(鱗片)の奥に種子がありますが、リスや野ネズミたちはこの種が大好物! カサの部分をむしって種を食べます。すると残った松ぼっくりはまるでエビフライのよう。その場にはいなくても、動物がそこにいた痕跡を見つけることができます。それを “フィールドサイン” と呼びます。みんなで森のエビフライを探してみましょう!
森のエビフライ探し
野ネズミによる森のエビフライ
私が見つけたのは右上の写真の通りで、これは野ネズミが齧ったもの。でも、中にはリスが器用に齧った本当にエビフライそっくりなものを見つけた人もいました。参加者の中には親子連れの方もいましたが子どももワクワク。とても楽しみながら自然の豊かさを学びました。

精進パノラマ台からの絶景

さぁ、トレッキングを再開しましょう。精進パノラマ台まであと一息です。
精進パノラマ台まで、あと一息。
他手合浜を出発して2時間。12時ちょうどに精進パノラマ台に到着しました。目前の富士山はもちろんの事、左手には御坂山地から秩父の山々が、右手には本栖湖からその向こうの南アルプスの峰々が望め、文字通りパノラマです。天気にも恵まれた3連休ということもあり、多くの登山者で賑わっていました。
多くの登山者で賑わうパノラマ台
見渡す山々について解説を受ける皆さん
ここでランチにしましょう。清々しい青空の下、開放感溢れる景色を眺めながらの昼食は格別です。昼食後も見渡す山々についてガッツさんより教えてもらったりして有意義な時間を過ごしました。
さて、午後はいよいよ中ノ倉を目指して稜線歩きです。

落ち葉美術館

精進パノラマ台と中ノ倉峠を結ぶ御坂山地の稜線は木々に覆われ、展望は望めません。でも遠くを見れない分、足元の自然に目が行き届き、楽しく遊ぶことができる貴重な体験の場になります。前編の最後にご紹介するのは、「落ち葉美術館」。
途中の休憩ポイントで、ガイドのガッツさんからスライドでつかうマウントケースが配られました。みんなで思い思いの落ち葉を拾ってケースに収めます。色鮮やかな紅葉(もみじ)を選ぶ人もいれば、渋い茶色い枯れ葉を選ぶ人も。そうやってみんなが収めたケースを並べて陽の光にかざしてみると…
落ち葉を集めてフレームに収めます
みんなのフレームを集めると…
落ち葉美術館の開館です
自然のステンドグラスのよう。
さぁ、落ち葉美術館の開館です。みなさん、それぞれにこだわって葉を収めましたが、みんなの分を集めて太陽にかざすと、光が落ち葉を透過してまるで自然のステンドグラスのようです。皆さん、きれいで楽しい小さな美術館を写真に収めていました。
 
いかがでしたか?
さて、後編では森の中での楽しいレクリエーションと中ノ倉の絶景をお届けします。お楽しみに!!